戸籍と相続手続き
日本では、人が生まれると、その親は役所に出生届を出します。
出生届が役所に提出されると、役所は、生まれた子供の名前や出生日などを、親の戸籍に記録していきます。
また、人が亡くなった場合、死亡した方の親族は、死亡届を役所に出します。
死亡届が役所に提出されると、その人の戸籍には、「〇月〇日死亡」といった死亡に関する記録がなされます。
「出生」や、「死亡」の他、
「結婚」
「出産(子の出生)」
「養子縁組」
「離婚」
「離縁」
「認知」
「本籍地を変更した(転籍)」
などの場合にも、役所に、「届出」を出すことになっていて、
役所は、これらの届出がされると、提出された「届出」の記載に沿って当事者の戸籍に記録していき、戸籍に履歴が残っていきます。
人間の一生の中で、役所に対して、こうした戸籍に関する「届出」を出す機会は、めったにありません。しかし、相続の手続きをする際は、このような記録が載っている戸籍を必ず必要とします。
人の財産を相続する権利というのは、
「結婚する」
「親から生まれる」
「養子に入って、戸籍上の親ができる」
「子として認知される」
などの理由で、親族間のつながりが発生したことにより、取得します。
そして、その親族間のつながりを証明する書類が「戸籍」になります。
人が亡くなった後、相続手続きをする必要が生じた場合、まず最初に、故人の出生から死亡に至るまでの戸籍を役所から取り寄せて、故人に関する「出生」「結婚」「養子縁組」「離婚」「離縁」「認知」等の事実の有無を、取り寄せた戸籍の記録を辿っていき、調査していくことになります。
また、戦前や、大正の時代の戸籍を必要とするケースでは、家督相続という制度が残っていた時代の戸籍も調査する必要があります。
情報技術が発達した現代では、役所もコンピュータ入力により戸籍に記録をしているわけでありますが、ワープロが発達していない時代では、役所の戸籍担当による「手書き」により記録をとっておりました。
戦前の戸籍の中には、一見すると殴り書きされているようなものや、達筆すぎるものが数多くあり、こうした戸籍を見慣れていない方にとっては、何が書いてあるのかさっぱりわからないものもございます。
このような時に、私にお仕事のお声掛けを頂くこともございまして、戸籍を解読し、戸籍の記録を辿っていくという作業をして相続手続きのお手伝いをしております。
お仕事で様々な戸籍の記録を調査していますと、その調査の過程で、子も知らない故人(親)の衝撃的(?)な過去が判明し、その事実を私から当事者の方に対してお伝えしなければならないという場合があります。
そうした事実をお伝えするときは、当事者の方の反応が気になり、私としても緊張する場面であります。
しかし、「子」と言っても、相続手続きを依頼される方は年配の方が多く、人生経験も豊富に積まれていらっしゃるからなのか、大抵の方は冷静に受け止められているように、お見受けします。
個々の事案により様々でありますが…(汗)
本日は以上になります。
ありがとうございました。
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